日本全国の美容クリニックで行われた二重まぶた埋没術19万5,893件のデータを用いた研究が、国際誌「Plastic & Reconstructive Surgery – Global Open」に掲載されました。2020年10月から2024年12月までの症例を解析し、需要は2023年3月にピークを迎えたこと、主な患者層は20代女性であることなどが明らかになりました。

研究は、美容クリニックTCB東京中央美容外科の奥村公貴医師らによる多施設共同の遡及的解析です。患者の年齢・性別・職業・施術日をもとに、自己回帰統合移動平均(ARIMA)モデルと中断時系列分析を用いて需要の時間的推移を検証し、さらに多変量回帰で人口統計学的要因の影響を評価しました。その結果、学生や若手会社員で需要が高く、春先(とくに3月)に症例数が集中する顕著な季節性が示されました。

新型コロナウイルス感染症のパンデミック後には、二重埋没術の件数が一時的に急増した後、徐々に安定し減少傾向に転じていることも確認されました。年齢・性別・職業は需要を規定する主要因とされ、低侵襲でダウンタイムが短い施術が若年層を中心に選択されている実態がうかがえます。

著者らは、こうした大規模データに基づく時系列・人口統計学的解析は世界でも初と位置づけ、日本の美容整形市場における人口動態的要因と季節的要因の重要性を指摘しています。今後は他の施術や国・地域にも同様の分析が広がれば、需要予測や人員配置、マーケティング戦略の高度化に役立つとみられます。一方で、結果の解釈には医療リソースの偏在や経済状況など未評価の要因が影響している可能性もあり、追加研究が求められます。

【論文情報】

Time-Series and Demographic Trends in Cosmetic Surgery: Multicenter Analysis of Double-Eyelid Embedding in Japan

Plastic & Reconstructive Surgery–Global Open/2025年11月掲載

症例数:195,893件(2020年10月~2024年12月)

source: PR TIMES

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